
パパのいる家はご飯がお腹いっぱい食べれるんだ!

前回は次女の爆発について書きましたが、今回は長女の当時の様子についてお話しします。
出会ったばかりの最初の頃、長女は2段ベッドの1階で寝ていました。 彼女は、一晩中とにかく激しく寝返りを打ち続ける子でした。当時の私は「すごい寝返りだなあ」くらいにしか思っていなかったのですが、数日後、彼女から「手を繋いで寝たい」と言われました。
小さな手を繋いで一緒に横になると、あんなに激しかった寝返りがピタッと止まり、すやすやと穏やかに眠りについたのです。
妻にその話をすると、毎日の忙しさからか頻繁な寝返りには気づいていませんでした。 きっと長女は、言葉にできないたくさんの不安や緊張を、夜の「激しい寝返り」という形で吐き出していたのだと思います。それから何日か手を繋いで寝るうちに、彼女の寝返りは自然と収まっていきました。
小学2年生が背負っていた、あまりにも大きな我慢
長女は長女で、新しい生活に対してものすごい不安を抱えながら、たくさんの我慢を重ねていました。
学校のあとに通う学童保育では、他の子どもたちからいじめられることもあったそうです。そんな辛い環境のなかでも、彼女は必死に妹を守り続けていました。 さらに家へ帰っても、母親に思い切り甘えたい気持ちを抑え、妹が甘える姿を見ては自分の一歩を引く。
わずか小学2年生にして、彼女はすでに「お母さんの苦労」を肌で実感していました。だからこそ、自分の感情を二の次にして、様々なものを我慢することが当たり前になっていたのです。
私と暮らすようになってからも、その健気な我慢は続いていました。本当は「新しいパパと一緒に遊びたい」という気持ちが強くあったはずなのに、いつも妹を先に遊ばせ、自分は一歩後ろで見守っている。
当時の私は、そんな彼女の健気な無理に、少しも気づいてあげられていませんでした。
妻の号泣と、胸を突いた夕食時の一言
そんな長女が発したある一言が、私たち夫婦を激しい悲しみと自責の念に突き落としたことがあります。
ある日の夕食のこと。 おかずは、長女が大好きな「ママの手作りハンバーグ」でした。嬉しそうに美味しそうに、ハンバーグを頬張る長女。
その食事の最中、彼女がふと、こんな言葉を口にしたのです。
「パパのいる家は、ご飯がお腹いっぱい食べられるんだ!」
その一言を聞いた瞬間、妻はその場で激しく号泣しました。
シングルマザーになってからも、どんなに苦しくても「子どもたちに食事だけはしっかりと食べさせよう」と、それだけは徹底して守ってきたと妻は思っていました。しかし、長女のその一言で、親に気を使わせまいと、子ども自身が知らぬ間に食べる量すら我慢していたのだという事実に気づかされたのです。
私は決して裕福な家庭で育ったわけではありませんが、これまでの人生で「食べることを我慢する」という経験がほとんどなかったため、長女の言葉に激しい衝撃を受けました。
長女は、必死に生きる母親の背中を見て、幼いながらに全てを察し、大人が思う以上の我慢を重ねて生きてきた。 彼女の望むことすべてを叶えてあげることはできなくても、「この子に食べる事だけは絶対に我慢させないようにしよう」。そう心に固く誓った瞬間でした。
それからの我が家の「大ごちそう」
ちなみに、その日を境に我が家の食卓は大きく変わりました(笑)。
長女の大好物であるハンバーグを作る日は、ひき肉をどっさりと「1キロ」購入して仕込みます。長女はそのハンバーグを、なんとひとりで半分ぐらいをペロリと完食してくれるようになりました。
ママお手製の唐揚げを作る時も、鶏肉1キロが夕食の一回で綺麗になくなるのが、いつしか我が家の日常風景になりました。
お腹いっぱい食べて、満足そうに笑う長女の顔を見るたびに、この笑顔をずっと守っていかなければならないと、改めて思ったものです。

