次女を襲ったいじめの正体

私と出会う前、彼女たち3人は団地で暮らしていました。 妻は離婚後、女手一つで必死に働き、2人の娘を育てていました。

学校が終わると、娘たちは学童保育でママのお迎えをじっと待つ日々。その場所で、2人は周りの子どもたちからいじめられていたそうです。幼い姉妹で身を寄せ合い、ただひたすらに我慢しながら、ママのお迎えを待つ時間は、どれほど辛く、長かったことでしょうか。

当時の生活の困窮ぶりは、想像を絶するものでした。 妻は「子どもたちにだけは、ご飯をお腹いっぱい食べさせてあげたい」と、自分の分を削って娘たちに与え続けていました。その結果、妻自身が栄養失調で倒れてしまったこともあったそうです。

子どもたちも、そんな母親の姿を見ていました。 自分だってお腹がペコペコに空いているはずなのに、ママに食べてもらいたくて、

「もうお腹いっぱいだから、ママ食べて」

と、嘘をついていたのです。 わずか小学生の小さな子が、そんな気遣いをしなければならなかった過酷さ。現在の暮らしの 表面だけを見て、この実子3人がこれほどの苦労を背負ってきたとは、周りの誰も気づかなかったはずです。

手に入れた理想。しかし、その途端に始まったこと

やがて私と出会って家族になり、私たちは建売の一戸建てを購入して引っ越しました。 お家があり、ママは常にお家で子どもたちの帰りを待つことができる。

それは、娘たちがずっとずっと夢に見ていた「いつもママのいるお家」でした。 ようやく手に入れた、温かくて安全な理想の暮らし。

ところが、新しく引っ越したその土地で、次女はすぐに「いじめ」の対象になってしまったのです。

いじめてきたお友達の背景。かつての自分たちに似た影

なぜ、うちの子がすぐにいじめられなければならなかったのか。 理由を探っていくうちに、いじめてくるお友達の「環境」が見えてきました。

そのお友達の家庭は、お父さんもお母さんも遅くまで働いている、あるいはお父さんがいない、そして団地で兄弟だけでお母さんの帰りを寂しく待っている……という状況だったのです。

それは、つい最近まで、当の彼女たちが置かれていた状況と、あまりにもそっくりな環境でした。

かつての自分たちと同じように、寂しさや我慢を抱えている子どもたちが、やっと「いつもママが待っている一戸建てのお家」を手に入れた次女をいじめてしまう。 羨ましさなのか、それとも自分たちが満たされない寂しさの裏返しなのか。

やっとの思いで地獄のような日々を抜け出し、夢が叶った途端に、かつての自分たちと同じ影を持つ存在から牙をむかれるという残酷な現実。

私たちは、新しい場所でもまた、形を変えた試練と向き合わざるを得なくなっていったのです。

PAGE TOP