
もう一つの試練「エーラス・ダンロス症候群」

笑みちゃんの出産を控えていた我が家には、妻の「脱落膜ポリープ」というリスクに加え、実はもう一つ、家族にとって非常に大きな出来事が起きていました。
長女が国の指定難病である「エーラス・ダンロス症候群(関節型)」であることが判明したのです。
長女を襲った3度の手術と、主治医からの告白
長女は高校生になってから、短い期間に3度もの手術を経験していました。
- 1度目:運動系の部活を続けてきたことによる「椎間板ヘルニア」の手術
- 2度目:その際に判明した「胸郭出口症候群」の手術
- 3度目:普通の人なら肩が抜けてしまうほどの関節の緩さを締めるため、足の腱を取って肩を縛る手術
この3回目の手術の際、主治医の先生から「エーラス・ダンロス症候群ではないか?」とお話をいただき、精密検査を行った結果、正式な診断が下りました。
この疾患は、体内の結合組織(コラーゲン)の遺伝子異常により、皮膚の異常な伸び、関節の極端な柔らかさ、血管や臓器の脆さなどが生じる遺伝性疾患です。長女の「関節型」は可動域が広すぎて脱臼を繰り返しやすく、あざができやすい、少しの怪我で傷が大きく開きやすいといった特徴があり、代を追うごとに症状が強く出ることがあると説明を受けました。
妻、そして生まれたばかりの笑みちゃんへの可能性
長女の検査をきっかけに、妻にも多くの該当項目があることが分かりました。 先生からは「おそらくお母さんも同じ疾患だろう」とのこと。妻は子供の頃から関節の痛みに悩まされており、現在は寝返りすら激痛で目が覚めてしまうほどで、年々その痛みは増していました。この疾患は年齢を重ねるごとに痛みが酷くなる特徴があるそうです。
出産間近に分かった、この指定難病の可能性。 妻の産科の主治医にもすぐに共有し、入院時は万全の態勢を整えてもらうことになりました。症例が多くない疾患のため、ベテランの看護師さんたちにとっても初めて耳にする病名だったそうです。
そしてその後、生まれてきてくれた笑みちゃんも専門医の診察を受けました。まだ体が小さい時期ではありますが、やはり「おそらくエーラス・ダンロス症候群だろう」との診断を受けることとなりました。
「生まれてきてくれただけでも」家族で前を向く
脱落膜ポリープという危機を乗り越えて生まれてきてくれた笑みちゃん。 そして、新たに分かった、家族がこの難病と付き合っていく可能性。
不安に押しつぶされそうになりそうななか、妻はこう言って笑いました。
「生まれてきてくれただけでも喜ばないとね」
その言葉に、ハッとさせられました。
高齢の父親である私にとって、子どもたちと一緒にいられる時間は、若いお父さんたちより短いかもしれません。だからこそ、私にできることは何でも一生懸命してあげたい。この試練も、親子で、家族みんなで力を合わせて乗り越えていかなければならないと、強く心に誓いました。

